〜池袋の森から〜
スギ花粉症の舌下免疫療法を実施するにあたって(No2)
スギ舌下免疫療法は、花粉症の原因であるスギの花粉のエキス(錠剤)を舌の下に少量から投与し、体をスギ花粉に慣らし、アレルギー症状を根本的に和らげる治療法です。
治療に関すること
- 治療は、長期間(3~5年)かかり、すべての患者さんに効果が期待出来るわけではありませんが、厚生労働科学研究などの臨床研究で、花粉症におけるアレルギー症状や生活の質が有意に改善されたという結果が報告されております。
- 副作用発現の有無、口腔の状態、正しく服用出来ているかを経過観察するため、指示どうりに受診して頂きます。
- 服用を終了した場合でも、効果が無くなる訳ではありませんが、その後効果が弱くなる可能性があります。
症状の改善があっても、症状が再発する場合があるので、自己判断で中止せず、医師に相談してください。
服用に関すること
- 服用方法としては、本剤を舌の下に置き1分間保持した後、飲み込みます。
その後5分間は、うがい・飲食を控えてください。
初回は医療機関で実施し、服用後30分は院内で経過を見ます。
- 多く服用してしまった場合は、直ちに吐き出してうがいをし、その後服用しないでください。
少なく服用した場合は、追加せず、翌日改めて前日の用量を服用してください。
服用し忘れた場合は、同日中に気が付いたときにその日の用量を服用し、翌日に気づいた時は前日の用量を服用してください。
- 服用する前後2時間程度は、激しい運動、アルコール摂取、入浴などは避けるようにしてください。本剤の吸収が促進され副作用を起こす恐れがあります。
- 急性感染症に罹った時などは、本剤による副作用発現の恐れが高まると考えられます。また、口腔内に口内炎などの炎症がある時は、刺激を与える恐れがあります。
このような時は医師に相談してください。
副作用に関すること
- 一般的に花粉症のアレルギー反応は30分以内に発症しやすく、また本剤の投与開始初期(およそ1ヶ月以内)は副作用の発現が多くみられます。
- スギ花粉の飛散期は患者さんのスギ花粉に対する過敏性が高まっており、副作用の発現する可能性が強いため、この時期からの本剤の投与開始はできません。
- よく見られる副作用として、口内炎・舌の下の腫れ、喉のかゆみ、耳のかゆみなどがあります。
- 以下の様な、アナフィラキシーの前兆が現れた場合は、医療機関を受診してください。
- 皮膚の症状
- 蕁麻疹、そう痒感、全身の紅斑・発赤など
- 消化器症状
- 胃痛、吐き気、嘔吐、下痢など
- 眼の症状
- 視覚異常、視野の狭窄など
- 呼吸器症状
- 声がれ、呼吸のヒュウヒュウ音など
- 神経の症状
- 不安、恐怖感など
- 特に緊急性の高い次の様なアナフィラキシーの症状(多くの場合服用後30分以内)では、迅速な対応が必要です。
- 呼吸器症状
- 呼吸困難、胸のしめつけ感、チアノーゼ
- 神経の症状
- 意識混濁
- 循環器症状
- 頻脈、血圧低下、不整脈
- 消化器症状
- 持続する胃痛、持続する嘔吐
もしこのような症状が発現した場合は、救急車を要請するなど対応してください。
以上の事をよく理解した上で、治療を開始してください。
コラムの一覧を見る