鼻は、気道(空気の通り道)の入り口であり、嗅覚も司っております。その内部は血管や腺を豊富に含んだ粘膜で被われ、肺に入る空気に一定の温度と湿度を与えています。また、入り口に鼻毛があり、さらに奥にはもっと小さい繊毛が密集していて、異物が入るのを防いでいます。したがって、都会の汚い乾燥した冷たい空気でも、鼻を通過する頃には、きれいで暖かく十分に湿り気があるようになります。
我々が当然のように行っている鼻呼吸は、遠い祖先が水の中での生活から、陸に上がってきた時から始まっており、陸上で生活しているほとんどの動物に共通しております。
もし、鼻での呼吸ができなくなったらどうなるでしょう。まず「におい」がわからなくなります。動物界では、獲物を探すことも外敵から身を守ることも難しくなり、生命の危険にさらされてしまいます。人の場合でも、有毒ガスなどのにおいも判らなくなり、またにおいと同時に味覚も障害されるため、腐敗したものも食べかねず、やはり危険を伴うことになります。
次に、鼻がつまると口を聞けて呼吸するため、のどが乾燥し、へんとう炎などにかかりやすくなります。また、乾燥によって歯のエナメル質が痛み、唾液による自浄作用も障害されるため、虫歯や歯槽膿漏などを生じることがあります。
さらに、耳にまで悪影響を与えます。耳と鼻は耳管でつながれており、鼻側の開口部が塞がると、耳の中が陰圧となり鼓膜が引っ張られるため、鼓膜の動きが障害され耳の聞えが悪くなります。
最後に忘れてならないことは、下気道(気管支や肺など〉への影響です。元来、気道における生体の防御機構は、外界からの最初の関門である鼻腔でその作用が強く、下気道に行くにしたがって減少しています。そのため、鼻づまりを生じると、汚くて乾いた冷たい空気が直接に気管、気管支、肺に入り、それぞれに障害を起こしかねません。ァトピー性皮膚炎などのアレルギー体質のある小児では、ぜん息の引き金になることもあります。
幼小児では、鼻粘膜の炎症によるものが多いのですが、悪臭を伴った場合は、異物も考えられます。また、鼻と、のどとの間に生じるアデノイドによることも多く、難聴、イビキなどを併います。
成人では、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)で生じる鼻茸によることが多いのですが、鼻中隔弯曲症や肥厚性鼻炎による交代性の鼻づまりもよくみられます。まれに、悪性腫瘍によることもあります。
年齢を問わず、アレルギー性鼻炎のように季節、場所によって生じるものもありますが、この場合、鼻づまりにくしゃみ・鼻水などを併います。
また、降圧剤・精神安定剤などの薬物や飲酒などによることもあります。
鼻づまりを急激に生じた場合、誰もが鼻声と同時に多少の息苦しさを訴えることでしょう。しかし、普段から鼻づまりのある人は慢性に進行することが多く、口での呼吸が癖となっているため、さほど息苦しさを感じません。しかし、下気道、口、耳などへの悪影響はもちろん、睡眠障害や集中力の低下をも生じかねません。したがって、原因の疾患をたしかめ、鼻づまりを放置せずに治療を行い、長引かせないことが大切でしょう。
〒170-0014
東京都豊島区池袋1丁目7-14
電話:03-3971-3387
FAX:03-3983-3953
午前:9:00~12:00
午後:15:00~17:30
土曜日の診療は午前9:00~12:30のみ
午前:8:30~
午後:14:30~
火曜日午後、木曜日、土曜日午後、日曜日、祝日
無料駐車場2台分