〜池袋の森から〜

乳幼児の気管支異物 ~ピーナッツは危険~

気管は肺に空気を送るときの大切な通路であり、生命を保持するうえで欠くことができません。もし、この場所に異物がつまれば、直ちに生命がおびやかされます。

だれでも何かのひょうしに、気管に異物が入り、むせて苦しんだ経験があると思いますが、たいていは咳と共に異物は出されてしまいます。 しかし、乳幼児は気管の内腔が狭く、咳の力も弱いため、異物を吐き出すことが難しいのです。乳幼児は親が目を離したすきに鼻、耳、口など、からだの穴のどこへでも物を入れて異物にしてしまうことが多く、危険をともなう気道異物事故の大半は5歳以下の幼児です。

異物になりやすいものとしては、豆類、玩具、針などですが、このうち圧倒的に多くて危険なものは、ピーナッツです。

乳幼児ではよくかまずに飲み込んだり、口に入れたまま遊んだりするため、大きいピーナッツ片がそのまま気道に入ってしまうことが多いのです。

はじめは激しく咳きこんだりしますが、しばらくすると、片方の気管支にはまりこみ、症状がおちついてくることがあります。そうなると聴診器やレントゲンでも診断がつきにくくなり、異物の発見が遅れます。

吸い込まれたピーナッツ片は徐々に変性し、脂肪酸などを出して、次第に周囲を刺激します。その結果、肺炎(ピーナッツ性肺炎)をおこして、呼吸困難になります。

その間にピーナッツ片が気管支ファイバー検査などで見つかったとしても摘出が困難であり、もし取り出されたとしても危険はすぐには去りません。

「豆がつまって死んだなんて聞いたことがない」とか「たとえつまっても、さかさにしてたたけば、すぐ、出る」などと思わず、乳幼児、とくに3歳未満児には、ピーナッツなど異物事故を起こしやすいものを与えないように気をつけることが大切です。
もし、あやまってのみこんだ時は、たとえ症状がおちついていても、専門家の診療をうけるべきでしょう。

ある全国紙で親が幼児にピーナッツを与えて、それを食べたと喜ぶ4コマ漫画が載った事について、このような事は危険ではないかと日本耳鼻咽喉科医会で取り上げ、ポスターなどで誤嚥防止の啓蒙をしています。

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天心堂医院

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